奈良仏像旅:玄賓庵 2008.4
狭井神社を出て、山の辺の道を北に向かってしばらく行くと正面に石垣と白い塀が見えてくる。
ここが玄賓庵だ。

門には「三輪山」と書かれる。

庵と呼ぶにふさわしい本堂には本尊として不動明王が祀られる。

ちょうどいらっしゃった住職さんから話を伺った。
この不動明王像はかつて大神神社の神宮寺だった大御輪寺にあった像で、明治の神仏分離令で大御輪寺が廃寺となった際にここに移されてきたのだという。
大御輪寺にはいま聖林寺にある十一面観音や法隆寺の地蔵菩薩などがあったが、いずれもこのときに散逸した。この不動明王と法隆寺の地蔵菩薩が聖林寺の十一面観音の脇侍だったらしい。
不動明王は神威ある三輪の神のもとに祀られていただけあり、威厳ある態度で座っている。
頭頂部に反り花のついた蓮華をいただき、上歯で下唇を噛む古様を示す。頭に付けた金線冠の下からは髪の毛が冠を巻き込むように上に向かってひるがえっている。この髪の描写は、不動明王以外の明王ではよく見られるが、不動明王としては珍しい。

境内には不動明王の石仏も置かれる。

大神神社と関係の深い寺らしく、境内には鳥居も置かれていた。
謡曲『三輪』は、この寺に住む玄賓を、三輪の神がひとりの女となって訪ねてくる話で、ここからも以前から三輪の神と深い関係があったことがうかがえる。
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