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2008年11月

法起寺とコスモス:奈良2008.11

中宮寺を出て古びた土塀を見ながら歩いて北へ向かう。

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向かった先は法起寺。
法起寺へは今年の春に行ったばかりだが、ある景色の撮影のために歩いていったのだった。

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池のほとりに集められて置かれていたこれはお墓ですね。
その後ろでは白鷺が餌をついばんでいた。

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昭和の時代、写真家・入江泰吉が取り続けた奈良の光景を思い起こさせる。
まだこんな景色が残っているなんてうれしいことだ。
でもちょっと視線をずらすとコンクリートの建物が目に入ってしまうのが残念。

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こんな景色を見ながら奈良はいいなあとしみじみ思う。

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法起寺と言えばコスモス。
撮りたかった景色とはこういうの。

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法起寺門前にもコスモス。

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目当ての写真が撮れたので、中には入らずここで引き返した。

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法隆寺夢殿と中宮寺:奈良2008.11

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法隆寺夢殿は八角円堂の建物。中には秘仏・救世観音が祀られる。
明治になってフェノロサと岡倉天心が絶対の秘仏として布でぐるぐる巻きにされていたというこの像の布を取り除いた。このとき、お堂の扉を開けると祟りがあると寺僧は皆逃げ去ったという。
長い間秘仏とされてきたこの像は金箔の色も鮮やかで、その顔は人間臭く生々しい。大きな鼻に太い唇を持ち、大きな目を見開いている。唇の端をきゅっと上にあがるアルカイックスマイル。聖徳太子の生き写しとも言われる像だが、この表情を見ているとそれも本当かもしれないと思わせる。
いまも春と秋にしか公開されない秘仏だ。

夢殿の塀の向うは中宮寺。如意輪観音として祀られてきた菩薩半跏像が安置される。
その像容から弥勒菩薩では、と言われる像だ。
尼寺にふさわしく女性らしい柔らかさを持ち、にこやかに微笑んでおられる。
全身が漆黒の姿をしているが、かつては極彩色の色が塗られていたという。いまの黒い姿のこの像を見ていると、その真っ黒な体の輪郭に向かって吸い込まれるような錯覚を覚えることがある。その向うには弥勒の宇宙が広がっているのだろうか。

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本堂は昭和43年に吉田五十八によって設計された鉄筋コンクリート造り。現代の素材を使って建てられた建物でありながら、気品があって美しいと思う。吉田五十八の作品には他に東京の歌舞伎座、五島美術館などがある。日本の伝統的建築を現代の素材を使って再構築した人だった。
ところで、この吉田五十八設計による歌舞伎座はその持ち主の松竹によって2010年に取り壊され、新しくビルに建て替えられる。平成14年に国の登録有形文化財に登録されているが、これは建物の保存には何の効果もないようだ。歌舞伎座のすぐ南側には松竹のガラス張りで薄ら寒い感じで景観に何の配慮もないしょーもないビルが建っているが、こんなビルを建て、歌舞伎座のような建物を平気で壊すこの会社は日本の伝統文化を扱いながら、伝統美というものへの美的感覚をお持ちではないらしい。残念なことだ。

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法隆寺西院伽藍:奈良2008.11

翌朝、JRで法隆寺駅へ。なんか駅が新しくなっている。電車で来たのはもう10年以上前か。
確か法隆寺行きのバスが出ていたはずだが、と駅を出るがバス乗り場さえ見つからず。何だかいろいろと駅の周辺も変わっているような気がするが、10年以上前の記憶なのでなんとも。
あとでわかったことだが、バス乗り場は南口だった。

歩いても30分くらいだし、ま、いいかと徒歩で法隆寺へ。

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松並木の南端に到着。
ここから国道を横切ってまっすぐに続く松並木の真ん中を歩いて南大門へ向かう。

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南大門をくぐると正面に中門。その背後に五重塔と松の背後に金堂。
この景色、中世っぽくて雄大ですごくいい。

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中門の仁王様。大変ご無沙汰しておりました。

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五重塔。装飾の少ない古様が力強い。
初層の四面には釈迦の入滅の場面や弥勒菩薩下生の場面などの塑像群が置かれている。天気の悪い日はこの中、暗くてなかなか見えないが、この日は秋晴れのいい天気で苦労せずに見える。

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塔の軒を支える邪鬼さんもがんばっていた。

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金堂と五重塔。
いやもうこの建物かっこ良すぎる。

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西院伽藍の周囲には廻廊が巡らされている。壁には連子窓が取り付けられ、柱は中心が膨らむエンタシス。この素朴な力強さの美のすごさ。
写真家・土門拳もこの廻廊の風景が好きだと言っていた。(確か)

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廻廊の連子窓から見る景色。

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桜の紅葉と大講堂。

この日、金堂は補修中で本尊の釈迦三尊は大講堂の背後の上御堂で公開されていた。上御堂の本来の本尊である釈迦三尊の前に置かれ、主役の座を奪っていた。
薄暗い金堂と違ってよく見えるのがうれしい。止利仏師による面長の顔立ちにアーモンド型の眼、唇の端を上に持ち上げたアルカイックスマイルも間近によく見える。
金堂の四天王はと見渡すと、こちらは法隆寺秘宝展として収蔵庫で公開しているらしい。ここもあとで行ってみよう。

大宝蔵院で愛らしい童顔の夢違観音や排仏毀釈の際に大神神社から来た骨太の地蔵菩薩などを見て、いよいよ百済観音と再開。ひょろっとした細長い胴体に、りんかくのはっきりしない笑みを浮かべた顔。じっと見ていると果たしてこの像は本当にそこに実在しているんだろうかと疑問が浮かぶような、かげろうのような像だ。
何でも白黒はっきりさせないといけない今の時代に対して、別にあいまいでいいじゃん、それが日本の文化のいいところなのさ、という声が聞こえたような気がした。

法隆寺西院伽藍

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天平旅館:奈良2008.11

ここ最近の奈良行きの使命のひとつに「安くていい宿を探す」というものがある。
旅費がかさむのであまりお高いところには泊まるわけにはいかないからだ。
その一環として今回泊まってみたのが天平旅館

ネットで予約したのだが、予約したのは前日まで猿沢池隣の天平ホテルだとばかり思っていた。事前に確認しておいて良かった。天平旅館の方は、近鉄駅すぐそばの東向商店街の中にある。間違える人も多いんじゃないだろうか。
部屋は2階ですぐ下は厨房。その臭いが閉めた窓からも入ってくるが、窓の上に取り付けた換気扇が必死にそれを吸い取っているという感じ。ちょっと臭うがすごく気になるほどではない。大浴場という名の浴場は、大を付けるほど広くはないが、とりあえず手足を伸ばして入浴できるのはありがたい。
最近、安い宿に泊まると部屋に入ったときにすでに布団が敷いてあることがある。ここもそうだった。あとから布団を敷きに部屋に人が入ってくるよりも気が楽でいいとも思うが、こういうのは何だか悲しい感じがする。

朝食のみ付いているプランにしたので、夕食は割と最近できた「ならら」に行ってみた。そのなかの「カジュアルダイニングふう」という店に入った。
確か都ホテルがやっているレストランでまるで奈良っぽさはないが、何度も奈良に来ていると特に奈良らしいところという観点で選ぼうとも思わなくなってくる。

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客は外人20人程の団体と隣に親子らしい女性の2人と我々のみ。
11月最初の3連休で正倉院展に来ている客も多いはずなのに、みんなどこに行ったんだろうかと思うくらいに夜の奈良は人が少ない。

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何だったかのミラノ風カツレツ。味もサービスもちゃんとしている。

旅館の朝食のおかずは焼鮭。よくある旅館の朝食に出てくる小さなひなびたようなのではなく、大きさも十分に大きく、しかも焦げ目もなくキレイに焼かれていた。これはポイント高し。
ちなみに、窓の外は隣のビルの壁だし商店街のアーケードがあることもあって、外の天気は出るまでまったくわからない。暗いから雨でも降っているのかと思ったが、実際はいい天気だった。


天平旅館


フライパンを買ってもらわなくちゃと、厨房で言っているのを横の廊下を歩いているときに聞いてしまったが、ちゃんと買ってもらえただろうか。

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興福寺南円堂特別公開:奈良2008.11

興福寺へ。
通常なら10月17日だけに開扉される南円堂が今年は西国三十三所巡礼御開帳ということで10/18〜11/24の間、公開されている。何度も来ている興福寺だが年に1日しか開かない南円堂には入ったことがなかった。いつものように東向き商店街の途中から興福寺境内に入る。

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中金堂の工事も着々と進行していた。

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南円堂に入る人の列は石段の下の中ほどまでできていた。

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長い列に見えたが30分程度待っただけで中に入れた。
八角円堂の南円堂内部の中央にはきれいに磨かれた黒びかりする漆が塗られた八角形の須弥壇があり、側面にはぴかぴかに光る透かし彫りのある金の金具が取り付けられていることがまず目に入った。江戸時代の再建の建物だそうだが、年に1回しか開けないからこれだけきれいなのだろうか。
本尊は不空検索観音。須弥壇中央に座っている。鎌倉時代に造られたもので、彫ったのは運慶の父・康慶。どっしりとした落ち着きのある像だ。
須弥壇の四隅には迫力ある四天王の四体が立って周囲をにらむ。

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この時期、同時に五重塔の初層も公開されている。南円堂でチケットを買うと五重塔と東金堂にも入れるシステムになっている。行ってみると南円堂以上に長い列。ここには以前の公開時に入ったことがあるので、パスすることにして列のできていない東金堂に行ってみることにした。

いつもは人がいなくて和める空間も中は人でいっぱいで、早々に退出してきた。

最後に北円堂へ。こちらは別料金。
毎年春と秋に公開しているので、開いているのは珍しくはないがせっかくなのでこちらも拝観する。
本尊は弥勒如来座像。その前に無著・世親菩薩の2体。そして四隅に四天王。
弥勒如来と無著・世親像は最晩年の運慶が制作を指揮したものだ。いずれも運慶の枯れた心境をよく反映していている。特に無著・世親の2体は人間臭い感じを残しながらも静寂な境地に達した人の姿がよく現されていて、見るたびに驚嘆させられる。
北円堂の今年の秋の公開は11/9まで。(もう終わっちゃってますね)

興福寺南円堂

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くるみの木:奈良2008.11

不退寺近くのくるみの木。

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いつも混んでる人気店だ。
この日もカフェは順番待ちの列ができていた。
この本で紹介したときに訪れた7年前も行列ができていたことを思い出した。

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ここのショップで売っていたきなこ飴。
ツレが買っていた。

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飴にきなこがまぶしてある(ってそのままじゃん)。
飴部分はやわらかく噛むとすぐにばりばりと食べられる。
ほのかに甘くて、いとうまし。

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くるみの木一条店

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不退寺:奈良2008.11

今年4度目の奈良入り。今回は不退寺から始める。

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本尊は白塗りで大きなリボンが左右に結ばれているのが特徴の聖観音菩薩立像。
ふくよかで女性的な印象のする像だ。
在原業平が建てたという寺で、寺伝では業平自作の像とされる。
業平といえば伊勢物語でプレイボーイぶりを発揮する主人公と目される。
この女性的フェロモンがむんむんとする像を業平が造ったと伝わっているのは、そういう連想があるからだろう。
その周囲を五大明王が取り囲む。不動明王だけは鎌倉時代とされるが、それ以外は平安時代。目がくりくりっとしたかわいらしいと言ってもいいくらいの明王たちだ。

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以前と変わらず、境内は草花で埋もれていた。

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これは舶来のハスらしい。

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初層しか残っていない多宝塔では猫がおおあくびをしていた。

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寺を出た後、適当に路地に入り込んでみた。
2,30年前なら風情ある風景だったろう。舗装されてなく右は土塀だったりすれば、入江泰吉の写真に出てきそうな小道だ。

不退寺

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